『流浪地球』を観てきた

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た。
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行く直前に、興行収入はついに歴代第二位となり、第一位の
一昨年の『ウルフオブウォー』を抜くかという勢いで、期待は
いやがおうにも高まった。ホテルすぐ隣の保利国際影院で
朝イチの回で45元払って観て……ガッカリ。

以下ネタバレしないと書けないから、しまくります。

映画も原作も設定が1962年の東宝の『妖星ゴラス』そっくり。
私はSFはまったく門外漢だが、映画オタクの『人民中国』編集長も、
中国SF小説の理論的指導者の大学教授も、会った途端に
『妖星ゴラス』に似ていると指摘したので、調べたところ、
『妖星ゴラス』は地球の6000倍という怪星ゴラスが
このまま進むと地球と衝突するというので、地球から逃げ出すか
地球ごと逃げるかというので、後者を選び、原子力(1962年らしい設定)
ジェットパイプを並べて66億メガトンの推力機関で地球をゴラス
の軌道から外して助かるという話で、まんま小説と映画『流浪地球』と
設定が同じなのだった。

ま、これは映画を観てから2人にそれぞれ聞いたことで、
映画そのものは虚心坦懐に観られたのだが、それでも
いろいろ「ハア?」と思うところがありまくりだった。
まず私がダメだったのは、予告編をネットで見た限りは映像的には
ハリウッド並みと思ったのだけど、実際に本編を見たら、まるでオンライン
ゲームだそのためった。そうしたら、2000年に発表されてすでにゲーム化はされてるのね、
この小説。宇宙の神秘感はまるでなかった。
次々と似たような危機が訪れるのがゲームそのもので、危機に意外性とかは
なて、ただの繰り返しパターンなので途中で飽きてきて眠くなった。

次に独創性がなく、過去の名作SFのパクリなのは、あまりこのジャンルを
観ていない私にですら分かり、『日本沈没』『復活の日』『スタートレック』
『インデペンダント・デー』『2001年宇宙の旅』などなど、既視感いっぱいだった。
中国の若い子って、こういうの観てないから感動するのか?

ギャグを回収しない。たとえば宇宙船だったかの揺れが激しくて、宇宙服の
ヘルメット?に吐くシーンがあるんだけど、そのすぐあとでそのヘルメットが
きれいになっててかぶる。
氷河期のようになった地球を装甲車で走るのだけど、北京から上海まで、
高鉄(新幹線)より速くあっという間に着いてしまう。凍りついた北京や上海の
シンボルマークの建物を見せるためとしか思えない。
(杭州に火石を取りに行くと言う目的はあるものの)

浪花節的な親子の確執と和解のストーリーが邪魔だし、この台詞がクサくて
SFにマッチしない。
原作のために断わっておくが、これは映画のオリジナル部分。
原作では数百年後の話らしく宗教もなくなり、人間の情愛、特に夫婦の情が
変質していて、主人公の少年の両親は父親が家を出て息子の小学生時代の
担任の女性教師と同棲、でも2年ほどで別れて戻ってくるのだが
母親はそんなことがあったことも覚えておらず意にも介さないというのが
SFぽかったのに、映画は他にも孤児と養父の情愛や、少年とその孤児の
女の子の共に育った幼馴染的感情とこの女の子を何があっても守ろうとする
少年の気持ちとか、もう、いかにも中国的な濃い情愛がうっとおしく描かれて、
非常に扇情的という中国映画によくある悪いパターンから抜け出せていない。
3Dで涙が飛んできた時はゲンナリした。

宇宙服とかダサすぎて未来感がまるでない。
アポロかソユーズかというレトロな宇宙服。

結局、最近の中国映画は資本回収を急ぐあまりに安易な作風に走ってしまう。
まさに資本の勝利であり、映画がプロパガンダの手段であった頃よりも
始末に負えないと思う。
冒頭の氷河期の地上から逃げて地下で暮らすシーンは文革期を彷彿と
させるという意見もあるらしいのだが、そうかなあという感じだった。

唯一の救いは主役の少年少女が魅力的なこと。
少女役はこのブログでも紹介したことがある趙今麦だった。








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