マダム・チャンの日記

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zoom RSS 還暦のオデット姫

<<   作成日時 : 2018/07/01 11:46   >>

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高校時代からの親友のバレエの発表会に行ってきた。
子どものころからバレエを習っていた彼女、
『白鳥の湖』は二羽の白鳥、三羽の白鳥は踊ったことがあるけど、
オデット姫は初めてといい、「冥途の土産」にするわと言うので、
それは見に行かねばと思ったのだ。
60歳で人生初のオデット姫のグラン・パド・ドゥに挑戦するのである。

思えば彼女との友情は演劇・映画・翻訳もの小説で結ばれ育まれたと言っていい。
高校に入学し個性豊かな友人揃いの女の子40数名の中で、フランス人形のような
彼女が、私が読んだばかりのサリンジャーの「フラニーとゾーイ」を読んでいなければ、
趣味が合うとは思わず、親しくなるきっかけはなかったかも知れない。
一緒に演劇部に入ろうとしたら、その女子高の演劇部はなぜか三島由紀夫ばかり
やっていて、何か好みが違うとやめた。
毎年一度クラスで劇を演じる演劇祭で、私は演出に熱中したが
彼女は習い事のバレエが忙しく、役者で出ることはなかった。

附属の女子高からそのまま大学に入ると、彼女は仏文、私は中文に進んだ。
2人とも英文学が好きだったのだが、英文科に入るには大学一年で英語の
試験があり、うちの大学は一応、私学の雄とされていて外部から入る入試の
英語は超難関なので2人とも外部生には太刀打ちできないと諦めたのである。
「うちの英文はオールドイングリッシュらしいよ」
「チョーサーやカンタベリーなんて興味ないよね」
と自分たちに言い訳をつけたものだ。
それでも教養課程では英文学講義を一緒に取り、エミリー・ディキンソン
を知ったりした。教養で一番楽しい授業だった。
高校時代の無念からか、彼女はシェイククスピア演劇研究会に入った。
私は中国に興味を魅かれていたので、中国研究会。
相変わらず共通の趣味は映画で、学科が違っても一緒に映画を見て行っては
俳優や監督の話をした。

卒業すると商社に勤めた彼女と高校の教員になった私だが、休みには京都や長崎などの
の国内旅行に行き、彼女が商社を辞めると、私が勤める高校の学校の夏休みにフランスと
オーストリアに長い旅行にも行った。
フランス語のできる彼女がいるのでフランスは心強かったが、
オーストリアは英語もフランス語も通じずドイツ語に苦労した。
ザルツブルグで『サウンドオブミュージック』ツアーに参加したら、
ドイツ語なまりの英語ガイドに閉口し、ウィーンに行こうと駅の切符売り場で
ドイツ語っぽく「ヴィエナ?」などと私が言っても通じず、ええい、ままよ、と日本語で
「ウィーン」と言ったら、あっさり通じたりした。
やっと乗ったコンパートメントの向かいの席の3人家族が食堂車に行ってしまい、
駅に停まると空いた席を探す乗客に「イス ヒーア フライ?」と聞かれ、
これは分かるぞと澄まして「ニエット」と答えたりした。

当時、20代半ばだった私たちが、どうも10代に見えたらしく、『第三の男』
に出てくるウィーンの観覧車に乗りたくてブラーターの遊園地に行ったら、
中学生の男子グループにナンパされ、ずっと後をつけられたりした。
パリでは同じホテルに立教高校の男の子たちが学校の何かの旅行で来ていて、
ちょうど公開中の『続エマニュエル夫人』を観たいが、私たちは女2人で見ていたら
痴漢に遭いそうで怖く、彼らは成人映画なのでチケットを買うのが憚られたらしく、
ギブアンドテイクで話がまとまり、彼らの自由時間に一緒に観に行ったりした。
2人で歩いていると、私は「シノワ?」と聞かれ、彼女は「フィリピーノ?」と聞かれ、
なぜか「ジャポネ?」と聞かれることは2人ともなかった。日本人の若い女性のブランド
漁り旅行が盛んだったのになあ。

ヨーロッパ旅行から帰って間もなく彼女は銀行マンと結婚、
相変わらず一緒に映画を観に行っていたが、
ある時、いつもは時間に正確な彼女がなかなか来ないので、
(忘れもしない、今はなきプランタン銀座のアンジェリーナで待ち合わせていた)
心配しながらモンブランを食べていたら、彼女の旦那さんから電話で切迫流産の
恐れで緊急入院したという。その時、生れた彼女の一人息子も数年前に結婚して
今年の秋にはパパになるそうだ。時間が経つのは本当にあっという間だった。

彼女も長いことハーレクインの翻訳をしていて(フランス語は仕事にならないと
早くにフランス語から方向転換した)
私たちは巡り巡って同じ仕事をする身になっている。



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