中国映画に青春映画が多いわけ

今年の東京国際映画祭、中国映画5本(旧作の『古井戸』を入れれば
6本)と例年になく多いのは、うれしいのですが、
『ぼくの桃色の夢』『少年班』『少年バビロン』と半数が青春映画というのも
偏りすぎな気もします。
それほど昨今は中国には青春映画が多いというわけなんだけれど、
同時期開催の中国映画週間のほうも、実写版のほとんど全作が
ラブコメか青春ものなのです。
こちらもテイストが偏りすぎです。
どうしたんですか、今年は?
中国映画は観客の年齢層が高いんだから
そのへんをもっと考慮してよ、と思います。


以前はもっと渋い作品を撮っていた『ぼくの桃色の夢』の監督に
記者会見で「なんで青春映画なの?」と聞いてたところ、
「観客層が若いので受ける(金儲けできる)ことと
検閲を通りやすい」からだそうです。
1つ当たると次々と似た路線の脚本が書かれ、
それにお金を出す人がいるのでしょう。
とにかく中国では、最近、なんでこんなのが、という作品が大当たりします。
ますます当たれば何でもいいという風潮がはびこりそう。
口当たりが良く、見ている間は楽しくて、見終わると何も残らないような、
要は脳みその要らない映画ね。
本当に中国映画の行く末が案じられます。

そんな状況のため、
姜文や陳凱歌たちは若い監督ほど娯楽に徹することができず、
娯楽も芸術もと欲張るため、興行収入も思うほどには伸びず(5億以下)
観客には「分からない」だの「つまらない」だのと言われ、
非常に厳しい時代になりました。

東京国際も中国映画週間も騒々しい映画ばかりと思っていたら
すがすがしい作品が1本ありました。

昨日、六本木で上映されたチベット族のソンタルジャ監督の『河』です。
ぺマツェテン監督の『静かなるマニ石』『オールド・ドッグ』のカメラマン
だった同監督、なんと撮影に3年をかけています。
それだけでも今の中国映画製作の傾向に完全に背を向けています。
6歳だった主役の少女は撮り終わった時には9歳になっていました。

画像


プロデューサーのスン・リーヤーが「今の中国でこういう映画を撮るのは
とても難しい」というのはその通りだろうとつくづく思いました。
「チベットの声を、チベットの文化を届けたい」というこの作品、
チベットの一家族を通して、自然との営み、親子の断絶、宗教、家族の愛
といろいろなことが淡々と描かれています。

そして、写真の上海国際映画祭をはじめ各地で主演女優賞をとった
ヤンチェン・ラモちゃんがいいんです。
彼女の見事な演技と最後の暗転してからのラモちゃんのセリフに
完全にノックアウトされましたね。
セーターと民族衣装の配色、アクセサリーもとてもオシャレでかわいい。
靴は去年の『北北東』で犯人が履いてた中国ブランド回力スニーカーでした。

昨今の騒々しい中国映画の中で一服の清涼剤のようなこの映画、
明日の夕方また上映があります。お見逃しなく!






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