『太平輪』前篇

『太平輪』は『レッドクリフ』と同じで前後編に分けての公開です。
そして、赤壁の戦いが『レッドクリフ』では後篇で描かれるように
中国のタイタニックと言われる太平輪という名の汽船の沈没が
描かれるのも後篇。
前篇はその太平輪に乗り合わせるのだろう人々のエピソード
という点も同じです。
なぜこんな気を持たせる描き方をするのか
そこにいたるまでの歴史と背景を丁寧に描きたいという監督の
考えなのかもしれないけれど、前篇、結構退屈で何度も時計を
見てしまったのも事実。

戦闘シーンはさすがに迫力あるんだけど
ラブシーンが陳腐です。
特に金城武と長澤まさみのカップル。台詞もくさい。
『レイン・オブ・アサシン』の時、脚本は蘇照彬と
聞いていたのに、クレジットでは王恵玲となっていて、
王恵玲と言えば、『グリーン・デスティニー』や
『恋人たちの食卓』の脚本家じゃないですか。
なんで、あんなに陳腐だったのだろうと不思議で
なりません。
チャン・ツィイーとトン・ターウェイの行きずりの出会いには
まあまあ味はあったものの、
なにしろトン・ターウェイの素朴で人のいい兵士ぶりが
『レッドクリフ』の時と同工異曲で、なんだかなあという
感じ。

前篇のメインは国民党の将校の黄暁明とソン・ヘギョ
演じる令嬢の恋と結婚です。
この黄暁明が演じる将校が、まあかっこいいのなんの。
中国人ネット民は、かっこつけすぎ、と言ってるようですが、
調べてみて分かりました。
彼が演じる将校のモデルは民国四大ハンサムと言われた
張霊甫なんですね。
(残りの三人には諸説がありますが、汪兆銘、胡適、周恩来
徐志摩、梅蘭芳などがそれぞれ入るようです)

画像


写真を見たら、黄暁明と同じか、それ以上のハンサム。
日中戦争、国共内戦で活躍して、1947年に戦死している。
しかも、ソン・ヘギョ演じる妻は4人目で
最初の妻は嫉妬から銃殺し、監獄にも入っているという
なんというか、激情型だったようです。

彼がかっこよく国民党軍を指揮するんだけど
かつての黄埔軍官学校時代の仲間なのか
共産党軍の将校と対面するシーンが
まるで『男たちの挽歌』そのものと一緒に見た友人2人は
受けてましたが、私はあくびを噛み殺していました。
それにしても、国民党軍はイケメンばかりで
共産党軍がモッサイおっさんばかりでよく中国で上映できた
と友人のCは笑っていました。

で、映画よりも沈没事件そのものに興味が湧いてきて
早速買った映画雑誌数冊の情報によれば、
この太平号はいよいよ国民党の敗色が決定的になり
上海から脱出する人々を載せてたくさんの汽船が出て
たうちの1つで、最も多い時はさまざまな船舶会社から
1日に50艘も出ていたとか。

でも船の切符は金の延べ棒数本という高値だったらしく
チャン・ツィイー演じる貧しい(そうは見えないけど)娼婦が
なぜ乗れたのか、そこにまたドラマがあるらしいのだけど
あの手この手でチケットを手に入れようとする人が殺到し
偽チケットも出回って(中国、昔から変わらないのね)
乗客は大幅に定員オーバー。

さらに10時乗船のはずが、荷物の積みこみに時間がかかり
午後4時半にようやく出港できた。
実は戦時中のため、夜の6時から朝の6時まではの夜間の
航行が禁止れていたため、
スピードを大幅に超過して運行していて、
さらに灯火官制で暗闇だったため、黄浦江から海に出た
途端に漁船と衝突したらしい。

最初は余裕で漁民を救出したりしてたのが
何しろ乗客と荷物が積載量をオーバーしていたために
どんどん船が沈み始めて、
結局は1000人余りの乗客のうち、生き残ったのは二十数名
だったとか。

このあたりのパニックを特撮と3Dを駆使して描くのが
後篇の見せ場なのでしょうね。
(前篇なんてどこが3Dという感じで、朝イチだったので
半額で見たけど、チケット120元じゃ日本より高い2400円
ですよ)
前篇の興行収入は4000万元だそうです。
制作費は4億元だそうだから大損です。
ほぼ同時に公開した(見た人によれば)
「あの頃君を追いかけて」+「So Young」という
たぶん制作費は10分の1ぐらいの『匆匆那年』
に大きく水をあけられているようです。





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この記事へのコメント

にった
2014年12月20日 09:09
水野さん!
確かにカッコイイ!カッコイイわ!張霊甫!

上集、正直かなり失望しましたが、自己の顛末を知ると、これは下集も観なくてはという気持ちになります。
マダム
2014年12月21日 07:37
そうなの。沈没シーンは見たいと結局
ジョン・ウーならそういうところは間
違いあるまいと後篇も見に行ってしま
うので、前後篇にするというのはやは
り用意周到というか、さすがというべ
きです。さて、前篇の大赤字を後篇で
取り戻せるのか。

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