マダム・チャンの日記

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zoom RSS 追憶の上海

<<   作成日時 : 2007/01/25 08:39   >>

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DVDになるという『追憶の上海』(原題は『紅色恋人』)のメイキングの翻訳を
しています。そのために改めて本編を見直してみて、何と台詞のほとんどは
英語じゃないですか。ずいぶん前の作品なんですっかり忘れていたけど、こ
の字幕を私がやったのかと、我ながら感心(笑)。
メイキングはもちろん北京語ですが、アメリカ人俳優のインタヴューだけは英
語で、仕方ないのでその英語も聴き取って翻訳しました。

メイキングにはレスリー・チャンのインタヴューもあります。
アジ演説する自分のシーンをじっとモニターで真剣なまなざしで見る
レスリーの映像などは、ファンにとっては未公開のかなり貴重なお宝映像なのでは?
そう言えば、映画のプロモーションで来日した監督にレスリーのことしか聞かない
ライターさんがいて、さすがに監督はムッとしていましたっけ(笑)。
レスリーファン、畏るべし、です。

監督の葉大鷹は王朔の鉄哥們。
徐静蕾の『私とお父さん』ではヤクザな父親を演じて、とても演技が素人とは
思えない芸達者ぶりを発揮しています。地でやっている感じもしますが(笑)。
王朔や姜文は王朔原作姜文監督の『太陽の少年』を見ても分かるように、
軍人の家庭の生まれ。なかでも、この葉大鷹は祖父が新四軍の葉挺将軍
という軍人貴族と言ってよい家庭に育った人。
そのせいか、葉大鷹の作品は『レッドチェリー』といい、この『追憶の上海』といい、
戦前の共産党幹部やその師弟を描いた自らの出身背景を感じさせるものばかり。

『レッドチェリー』は戦前、共産党の幹部たちが子弟をソ連に留学させた史実を踏まえ、
ソ連に進軍してきたナチス将校に蹂躙される中国人少女の悲劇を描いたもの。
これはねえ、悲劇的色彩もあるんだけど結構えぐかった。
上海映画祭で見ていた時、隣に座っていたのがたまたまドイツ人の記者で、
「将校のドイツ語はロシア語訛りだし、ドイツの軍服はどう見ても違う」と笑って
いたのを思い出します。
でも、この『追憶の上海』は、中国が舞台なのでさすがに時代考証はかなり
しっかりしているし、レスリーはもちろんのこと、中国人俳優たちの英語も
なかなかです。
特にレスリーの相手役の梅婷はとても雰囲気があり、英語もなかなか。
当時、彼女は21才、監督の愛人でした。
実はテレビ版の『レッドチェリー』のヒロインの少女役でデヴューして監督と
恋仲になった模様。
来日中はとても仲睦まじかったけど、その後、別れたと聞き、同級生の
チャン・ツィイーは、怒った葉監督が走っている車から梅婷を足で蹴って
車外に突き飛ばしたのだ、と憤慨していました。何が原因かは知りませんが。
最近は若い監督さんと結婚して『アスピリン』という作品で夫婦合作して
います。幸せになってよかったです。

レスリー・チャンが演じる地下共産党員には特定のモデルはなく、
彼の背景は複数の実在の人物の話を1人の人物の身の上としたそうです。
だけど、香港スターのレスリーが地下党員の指導者を演じることについては
老幹部たちから相当反発があったと監督本人から聞きました。
革命のために尊い犠牲となった烈士をミーハーの代表のような香港の芸人が
演じるなんて、とんでもないというところなんでしょう。
特に、自分自身が国民党に処刑される地下共産党員を演じたこともあり、
自らも党員で中国映画界の重鎮である女優の於藍(田壮壮監督のお母さん)は、
「地下党員が女への愛のために自ら出頭して処刑されるなんてあり得ない」
と強く反発、この映画の上映阻止を訴えたそうです。
このへんの裏事情はレスリーのインタヴューの答えでもチラリと感じることが
できます。
でも、私はレスリーが捕まった女を救うために出頭して、偽装夫婦だった女性の
お腹に自分の子がいるのを知り涙ぐむシーンは何度見ても結構ホロリときます
けどねえ。
女のために党の大物が出頭するかしないかは、まあ、確かに党の大義が
至上ですから、女を犠牲にするほうが絶対にリアリティーがあるのでしょうが、
女のために出頭したほうがロマンチックで映画になりますよね。


ところで、この『追憶の上海』という邦題は珍しく私がつけたものです。
なかなかいいでしょう? 50年代のアメリカ映画風で。
実は私は子どもの頃、『追憶』とか『旅愁』とか『旅情』とか『慕情』と
いった50年代のハリウッドのメロドラマが大好きだったのです(笑)。
ビデオを配給した松竹ホームビデオの人は、侯孝賢の『フラワーズ
オブシャンハイ』がオオコケした直後だったので、タイトルに「上海」を
入れるのに難色を示したのですが、この映画は絶対に「上海」を
入れるべきだと主張しました。
英語のタイトルは『A Time To Remember』です。


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タイトル (本文) ブログ名/日時
A Time to Remember
4月6日に「追憶の上海」のDVDが発売されるとのことで、Amazomでも予約販売をしています。そのDVDの特典映像にメイキングがつくということで、その字幕を担当しているマダム・チャンさんのブログ「マダム・チャンの日記」では、そのエピソードやレスリーや監督についてのエピソードなどが語られています マダム・チャンさんが邦題の「追憶の上海」をつけたとありました。そのことはまったく知りませんでした。英語のタイトルはレスリーがつけましたよね。英語の「A Time to Remember」も「追憶の上海」... ...続きを見る
The Four Seasons ...
2007/02/08 06:06

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タイトル
本 文

コメント(21件)

内 容 ニックネーム/日時
初めてコメントします。

本文中の「レッドチェリー」、以前、ビデオを録って、後から見返したのですが、続けて見ていられませんでした。
それでも、中国人の女の子と、男の子がそれぞれどうなるのか、気になって、だいぶ経ってから、見直したのですが。
映像が美しい分、余計に残酷さが際立ちますね。

また、「レッドチェリー」という題名だと、初めて知りました。
原題は、何でしたっけ…

タイトルの「追憶の上海」から離れてしまってすみません。
でも、英題とも合って、とてもきれいなタイトルだと思いますよ。
DVD化されたら是非とも見てみたいと思います。
mudanjiang
2007/01/25 19:14
原題は『紅桜桃』ですね。女の子役の郭柯宇が
愛らしかっただけに残酷で見ていられなかった
ですね。『シュウシュウの季節』と並んで後味
の悪い中国映画でした。
mudanjiangさんは黒龍江省に何か思い入れが?
マダム・チャン
2007/01/25 19:22
そうそう、シュウシュウの季節もありましたね。
こちらは、日本語訳の小説を先に読んでしまい、悲しすぎる結末にレンタル屋でビデオを見つけたものの、手が伸びないままです。

中国のドラマ、映画、(多分小説も?)など、先のような誰も救われない作品を時々見ますね。
日中間の死生観の違いでしょうか?
戦後の日本人が変わってしまったのかもしれませんが、中国人は超リアリスト、日本人は根が悲観主義のハッピーマニア?

多くの中国映画に携わっておられるチャンさんはどう思われますか?

黒龍江省には、特に思い入れがあるわけではないけれど、mudanjiangの音の響きが好きなので、ただそれだけです。
あと、マダム・チャンさんのウケを狙ってしまったのが5%くらいです。
mudanjiang
2007/01/25 22:21
『追憶の上海』の張国栄が出ているシーンはもちろんですけど,一番最後のシーン(もう本当に最後の部分!)が何だか好きです。
東方明珠塔が映るシーンです。
その部分の,バックに流れる音楽も何だか知らないけど,グッときてしまいます。
彼が亡くなってからこの映画を観たせいでしょうか・・・。
お恥ずかしながらこの映画で初めて陶澤如を知ったんですけど,かなりいいですよね!
とにかくメイキング,絶対観てみたいです!楽しみにしています!
じんがん
2007/01/25 22:54
>mudanjiangさん
響きはね、確かにいいんですけどね。町自体は…。
でも、中国人って、ある意味日本人よりロマンチスト
でもあるんです。でなけりゃ、革命なんて起こせませ
んわね。私はかねてから中国人は東洋のラテン民族説
を唱えています。知れば知るほど不思議な人たちです。

>じんがんさん
分かります。あそこは太く短く死んだ者と
長生きしたアメリカ人の人生を対比させて
人の人生の意義というものを考えさせます
よねえ。東方明珠もサービスショットのよ
うに出てきて。
陶澤如は何と言っても『一人と八人』ですね。
一見の価値ありです。カメラマンは張芸謀、
監督は張軍サ、第五世代の監督たちの一番
初期の作品です。
マダム・チャン
2007/01/26 06:52
ラテン系ですか!
私は中国人と接する機会がほとんど無いので、実感できなくて残念です。
このブログでご紹介されている多くの映画やドラマや、チャンさんのお話で、
そういった気質を感じられたらと思います。
ご回答、ありがとうございました。
mudanjiang
2007/01/27 00:10
こんにちは。実は、「追憶の上海」は、私のだーーい好きな作品です。(フラワーズオブシャンハイもかなり好きです。僅かに映画館にいた人は皆寝ていましたが...)
「追憶の上海」、新宿武蔵野館に行っては、何度放射状に涙を流したことか。(泣ける映画が好きだというのではありません...。)2003年?に出たDVDも何度も観直しましたが、やっぱり好きです。邦題も字幕もマダム・チャンさんだったのですねぇ。感動。
梅?も浮ついたところがなく、ちょっとクラシックな顔立ちやたおやかなたたずまい、一途さなどが魅力的でした。しなやかな指にもハッとしました。好きだなぁ。他の出演作も見てみたいです。
kadoorie-ave
2007/01/27 15:27
(申し訳ありません。長いコメントを書いてしまいました。後半をこちらに分割いたしました。)
上海でも他の都市でも、建物や道を眺めながら、歴史のうねりの中で泡沫のように消えていった幾千万の人々とその人生を空想します。そんな空想のできる街や映画が好きなのかもしれません。
 マダム・チャンさんの中国人、東洋のラテン民族説に賛成♪(そういえば中国人東洋のラテン民族説は、以前集英社新書「『中国人』という生き方」の田島英一さんも書いていましたっけ。中国をよく知る方には物足りない内容かと思いますが、私にはなかなか面白かったです。)
kadoorie-ave
2007/01/27 15:30
kadoorie-aveというハンドルネームはレスリーが
住んでいた所からつけたそうですね。私は本名が
門織絵さんとでも仰るのかなあ(笑)と思っていま
した。
そうなんです、で、日本人は東洋のゲルマン民族
ですから、中国人とはもう気質が全然違うわけで
す。
メイ・ティンは映画出演作はあまりないですね。
テレビドラマの「香樟樹」というのをCCTV大富
で放映するために字幕をつけたことがあり、そ
のドラマでは、めちゃくちゃ勝気なお転婆娘を
演じてて、全然イメージが違いました。
ちょっと高木美保に似てるなあと思うのですが、
どうですか?
マダム・チャン
2007/01/28 12:31
はい。kadoorie-ave、漢字だと嘉道理道です。あとからわかったのですが、ペニンシュラホテルのオーナーユダヤ系英国人カドゥーリーの名前からきているのではないでしょうか。
メイティン、そういえば高木美保似ですね。高木美保を少し丸顔にしたような。あの映画ではレトロな中国のポスター(‘30年代くらいまでの)に出てくる女性たちとも似て見えて素敵でした。
kadoorie-ave
2007/01/28 15:26
初めまして。マダム・チャンさんのストレートなお話し方が好きで、よく拝見させていただいています。今度発売される「追憶の上海」のDVDにメイキングがつくと言うニュースとても嬉しく拝見しました。わたしのブログにトラックバックさせていただきました。発売を楽しみにしています。
Franny
2007/02/08 07:12
Frannyさん
トラックバック感謝です。
レスリーが生きていたら、『梅蘭芳』はレスリーを
置いて他はいないのに、と私も本当に残念です。
英語タイトルはレスリーがつけたとは私も知りませ
んでした。レスリーとコラボしてたんですねえ。
光栄です。
『さらば、我が愛』で来日した時、彼の通訳を担当した
友人の英語通訳さんによると、車での移動の際、退屈し
のぎにレスリーが彼女の長い髪をよくおさげに編んでた
そうです。なんか、その画面が浮かぶエピソードです。
舞台に立つ前は必ず「アム アイ ビューティフル?」と
聞くんだとか。普段もとてもチャーミングな人だったの
でしょうね。
マダム・チャン
2007/02/08 07:42
『梅蘭芳』の映画、わたしもレスリーで観たかったです。監督は陳凱歌になったのですね。台本が変わることで、誰が演じるかを予想できるってすごいですね。でも、なぜ先に訳すのでしょう?それも日本語にですよね??
『さらば、わが愛 覇王別姫』の来日時のお話、教えてくださってありがとうございます。嬉しいです。"Am I beautiful?"というレスリー、想像できます。(笑)
Franny
2007/02/09 04:35
『梅蘭芳』に限らず、日本語に訳す目的はいくつかあります。
日本の出資を求める場合、日本の俳優が出演する場合、最近
は日本の音楽家も人気なので、作曲してもらうために見せる
場合、これらは撮影前に台本を翻訳するわけですね。実は
ト書きなども全部訳さなければならないので、字幕より大変
なんです。
マダム・チャン
2007/02/09 06:31
初めまして、Frannyさんのところから飛んできました。
「追憶の上海」は、きちんと中国の歴史を理解したうえで見ないと、
監督にも、映画にも、そしてレスリーにも申し訳ないという気がしています。
国や時代の壁は大きいけれど、映画は、その理解を可能に近づける大きな力を持つもののひとつですね。映画ってすごいなあと思います。
今日まで北京に行っていまして、昨日は梅蘭芳さんのお墓にも行ってきました。レスリーが立っていた場所に立てて、ちょっと幸せです。
Ilovehimforever
2007/02/12 23:30
『追憶の上海』を見たレスリーのファンの方が
香港だけではなく中国や中国の歴史にも興味を
持ってくださるのは、とても嬉しいことです。
『さらば、我が愛』撮影中はレスリーは北京の
シャングリラホテルに泊まっていたみたいです
ね。監督から聞きました。
北京には梅蘭芳の故居もありますが、いらっしゃい
ましたか?
マダム・チャン
2007/02/13 08:37
そのシャングリラに泊まってきました!
梅蘭芳の故居にも行ったのですが、春節が終わるまでお休みということで、
中に入ることができませんでした…。
中国を訪れるときは、時期が大切だと痛感しました。
ブログを作っており、そこでレスリーを追いかけていますので(たわいもないことですが)、
お時間のあるときにでも是非覗いていただけると嬉しいです。http://leslie55.exblog.jp/
Ilovehimforever
2007/02/13 20:53
いや、あそこは休館が多いんですよ。
私も一度夏に行ってダメ、次に春に行った時は
空いていました。
什殺海の近くの胡同の中には梅家のコックの末裔が
コックを務めるというレストランの「梅府家宴」が
あります。味はイマイチですが、インテリアと庭が
いいです。
特に奥の個室には梅蘭芳が愛用した調度品が飾られ、
彼の物だという蓄音機から梅蘭芳の歌が常時流れて
います。1人300元です。次回北京に行った時に是非。
ちなみにこのレストランの若い経営者は『こころの湯』
の素人のど自慢大会でカンツォーネを歌ってた太っちょ
の彼で(今は痩せています)、『梅蘭芳』の映画化の権利
を彼が梅家から獲得したという功労者です。
マダム・チャン
2007/02/14 09:58
「追憶の上海」の話題から「さらば、わが愛 覇王別姫」の話題になってしまいますが(^^;、レスリー・チャンの国際ファン連盟日本支部Red Mission Japanが今年「覇王別姫芸術展」を開催する予定です。マダム・チャンさんから「覇王別姫」のいろいろなお話が伺えたら嬉しいです。後ほどメールを送らせていただきます。
Franny
2007/02/14 13:44
マダム・チャン、久しぶりのイランカラプテです。
中国の俳優「梅婷」が、中国映画「非誠勿擾」を観て、北海道の美しい自然の風景で「写真集」をつくろうと、オホーツク海にやって来ました!
梅婷「北国之春」
加藤雅夫 masaokato.jp
美幌音楽人
2009/03/08 15:54
冬のオホーツク海で写真集の撮影。
寒そうですねー。
あの映画は、映画としてはイマイチだけど
中国人の北海道に対する憧れはかきたてた
みたいです。
メイ・ティンもかれこれ30才。
チャン・ツィイーの同級生なんですよ。
マダム・チャン
2009/03/08 17:29

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