『妖猫伝』日本版の謎

『KUKAI空海』という邦題を聞いた時から嫌な予感はしていたけど
ついにそれが現実のものになってしまった。
中国で公開中で、なかなか評判もいい『妖猫伝』の日本での公開は
なんと吹き替え版だけの公開らしい。どうして??

配給が東宝と角川で、邦画配給会社の東宝に押し切られたのか。
東宝と中国映画といえば、『単騎千里を走る』の配給もそうだったが
これは字幕版だったけれど、なんか「?」な字幕だった。
劇中劇の地方劇の台詞に一切字幕がなく、
日本語通訳役がそのあとにすべて日本語にする中国語の台詞に
字幕がついているのだ。くどくて退屈だった。
つまり、観客にしてみれば、字幕の欲しいところには字幕がなく、
字幕の要らないところに字幕があるという変なことになっていた。

今度はそれがすべて日本語に吹き替えだという。
『テルマエロマエ』じゃないんだからさあ。

考えられる理由は二つ。
昨今の日本人の邦画は見るが外国映画は字幕を読むのが面倒という
傾向に迎合した「英断」(!)ということ。
実はアメリカもヨーロッパも外国映画を字幕で見るのは少なく
たいてい吹き替えと聞く。
外国映画は字幕でという、日本人の識字率の高さ、読み書き算盤の
基礎学力の高さはもう過去の話となったのだとしたら、これは仕方ないだろう。
日本と日本人は国力も知力も落ちるところまで落ちたということを認めなくてはいけない。

もう一つは、この映画を映画会社に中国映画として売る気がないということ。
予告だけ見ると、まるで日本映画だった。
そういえば、『ウルフ・オブ・ウォー』のポスターもどこにも中国とは
書いてなくて、ピジュアルにも西洋人にしか見えない戦士を使って
いた。中国映画だと分かると売れないとでも?
もし、そうだとしたら、大変に失礼な話だし、中国の監督俳優の苦労が
報われないと思う。
まして、吹き替えた俳優の演技力がもとの俳優さんの演技にはるかに
及ばなかったら?単なる日本での人気に支えられた吹き替えのキャス
ティングなら?最低である。

ちなみに中国はもともと外国俳優は吹き替える伝統で、
今回の空海役の吹き替えも絶妙と評判になっているそうだ。
私は中国版がネットで見られるようになるまで待ちます。




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