老炮儿

中国人の友人が旧正月なので紅包(お年玉)と微信に送ってきたのが
最新作を一気にネットで見られますよという各話題作のネット動画。
日本じゃ見られないでしょ、どうせと思って試しに開けたら
ちゃんと見られる。
(もっとも私はiPhoneで見たけど、さらに転送した友人はパソコンでは
見られなかったそう)

すでに見た作品も多かったのだけど、『老炮儿』と『師父』があったのが
うれしい。

『老炮儿』は『闘牛』『殺生』と最近は渋い異色作を連発して俄然第六世代で
頭角を現してきた管虎監督の北京味濃厚な作品です。
主役の六爺を演じた馮小剛監督が金馬奨で最優秀男優賞を取ったことでも
話題になった。
(『唐山大地震』で奥さんの徐帆が最優秀主演女優賞を呂麗萍に負けて
取れなくて金馬奨映画祭に噛みついてた同監督なので、
授賞式に行かなかったのは、その怨恨かと思ったけど、そうではなかったよう)
製作は馮小剛監督が株主でもある華誼兄弟。
すでに興収八億だそうです。

五億を突破する作品に最近はロクな作品がない昨今だけど
この作品は奇跡的に内容も面白かった。
「老炮儿」というのは日本語で何と訳すと友人に聞かれて頭を抱えてしまった
のだけど、ケンカなどで監獄に入ったこともあるような、でも義理人情に厚く、
道からはずれたことはしないというそういう、北京の特殊な人たちを指す
北京語らしい。
日本語にはしようがないですね。
そんな老炮儿の1人を演じるのが馮監督で、なんというか、地で演じている感じで
監督そのままじゃん、と最優秀演技賞というのはどうなの、というぐらいのハマり役。

息子を演じる(美形すぎて監督の息子にはとても見えない)李易峰や
敵役(でも心は通じ合うという美味しい役)の官二代を演じた呉亦凡
最後にチラッと登場の中国のジャニーズのようなTFBOYSと、
そこは商売上手な華誼兄弟なので
いま流行の小鮮肉(若いイケメン)も出しているけど
(実際そのせいで、およそこの映画そのものには何の興味もないだろう
女子中高生が映画館に押しせよせたとのこと)
張函宇を初めてとする、かつての不良少年で今は冴えないおっさんたちが
いい味を出してます。

若い美人人気女優など1人も出てこないのもいい。
馮小剛演じる六爺と腐れ縁のバーの女経営者を演じる許晴と
老炮儿の1人を演じる劉樺(劉燁じゃないですよ。『クレージーストーン』で間抜け強盗
三人組の親分を演じた人ね)の妻役を管虎監督の妻の梁静が演じてるぐらいで、
2人とも40近いか40過ぎ。
許晴、なかなかいい味出してます。

そして何よりも非常に「地道」な北京語満載のセリフがいいです。
それで北京出身の役者を揃えたんだろうなあと思うほど。
なかなか今じゃ聞くことのできない北京腔です。
舞台も后海のバー街が中心。
見事に観光化されたあの界隈の裏道にひっそりと住んでいそうな
庶民たちの話です。
変わりゆく北京に対する挽歌のような作品でもありました。

一番笑ったのは、「腹が立つのは年過半百的老人という言葉だ、
50過ぎたばかりで老人の仲間入りをさせやがって」
という馮小剛の台詞。
監督と同い年の私もこの決まり文句を中国語で見るたびに
そう思っていたので大受けです。



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