映画『ターミナル』を地で行く話

上海在住の民主運動家の馮正虎さんが中国から再入国拒否
されて出国先の日本へ強制送還され、成田の入管前で泊まり
こみを始めてから間もなく1ヶ月になる。
朝日の夕刊でも1度だけ報道があったそうだが、私はうかつに
も見落としていた。北京に行ってた時かもしれない。

王さんは天安門事件以来の民主活動家で、日本に留学経験も
あり、今年の天安門20周年直前に中国国内で一時留置されて
いたのが釈放、6月4日前後はどこかに出国していろと言われ、
英語は出来ないが日本語は出来るので日本に来ていた。
ところが、6月4日が過ぎて再び中国に帰ろうとすると上海の
入管で再入国拒否に遭う。
その後、8回も入国を試みたが拒否され、最後の8回目では
上海の空港近くのホテルに滞在を許されたものの、
入管職員と何と全日空の職員に強制的に連行され、
全日空で成田に送還されたという。

以来、成田の第一ターミナル南ウィングの入国審査の外国人
入国カードを記入する机近くのベンチで寝泊りして過ごすこと
はや25日間。
その間、中国や台湾の心ある同胞や(森美術館でのイベント
に参加する艾未未も来日の際に慰問したらしい)、
外国エアラインのクルーたちからの差し入れを受けたり、
一部日本人の空港職員の励ましを受けたりして暮らしている
そうだが、
国連からの亡命勧告に対しては、
自分は祖国に帰りたいのだと拒否して、
成田での過酷なターミナル野宿状態を続けている。

これは、まるで映画『ターミナル』でのトム・ハンクスを地で行く
話である。
この映画もそもそもは実話を基にしているらしいが、
映画のほうは祖国が亡びてしまって国籍のなくなったトム・ハンクス
がアメリカに入国できずに、仕方なく空港でサバイバルしていく話
だが、馮さんの場合はれっきとした母国があるのに、
その母国に入国を拒否されて成田で日本に入国することも拒否し
て抵抗姿勢を示し続けているわけだから、立場はかなり違う。

それにしても、全日空。何だか、瀋陽の日本領事館の二の舞の
ような振る舞い。そんなに中国に恩があるのだろうか。
手助けしないまでもお先棒担ぐこともあるまいにと思うが。
もっとも中国のエアラインは彼の搭乗すら断ったそうだから、
乗せただけマシなのか。
こうなると中国政府と馮さんの根競べがいつまで続くかということ
になってきているが、
来月私が広州から帰国する時、もし飛行機が第一ターミナル到着
便で、馮さんがまだ空港で粘っていたら、
中国の美味しい食べ物でも差し入れしたいと思う。

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