呉天明監督製作作品回顧上映

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東京国際映画祭のラインナップが発表になり、今年は中華圏の作品が
去年より大幅に増えました。それでもかつてほどではないけれど、去年
はたった3本で本当に寂しい限りだったので、うれしいですね。

ワールドフォーカスに第2回東京国際映画祭で上映された『古井戸』が
入っています。
去年の3月に74歳で亡くなった呉天明監督を偲んで上映されるようです。
中国映画週間は呉天明監督の初期の名作『人生』や
『標識のない河の流れ』のほか、
製作作品である『黒砲事件』なども上映されます。
いずれも昔、東光徳間の配給で公開された名作。
見ていない人はぜひ。

呉天明監督は1984年に西安映画製作所所長に就任、
製作所改革に大ナタをふるった人です。
当時大学を卒業したばかりの第五世代の作品
『一人と八人』や『黄色い大地』を見て、
彼らの才能を高く評価して、映画を撮らせた人です。
呉天明がいなければ、張芸謀の『紅いコーリャン』は生まれなかったか
生まれたとしても数年は遅れたはず。
その張芸謀をカメラマンと同時に主役に抜擢したのが『古井戸』で、
なんと東京国際映画祭は張芸謀に最優秀男優賞を授与しています。

ちなみに『古井戸』の原作・脚本は鄭義。
鄭義は数年後の天安門事件で学生運動を支持、
ハンストを指導したとして、指名手配になり、
2年間の国内逃亡生活を経て
香港からアメリカに脱出、
作家として中国では抹殺されています。
鄭義の小説はその後、香港からは出ていますが
日本の中国書店でもなかなか手に入りません。

呉天明監督も天安門事件の時はたまたまアメリカにいて、
学生を支持する発言をしたため、
数年間帰国できず、したがって映画も撮れないという
失意の日々を過ごしています。

その後、90年代半ばに帰国して撮ったのが『変臉』です。
『大地の子』の義父、朱旭主演の四川の大道芸人と養女の話。
まあ、この養女役と朱旭が上手いので泣かせるのですが、
正直、この作品を中国で初めて観た時は
『人生』や『標識のない河の流れ』に比べると退歩したなあと
いう感じで、がっかりしたのを覚えています。
実はその時一緒に見たのが、亡き深作欣二監督や若松浩二
監督で、
「こんなお涙ちょうだい映画に泣かされないぞ」と言いつつ、
泣いていたのが印象的でした。
若松監督に至っては、この映画を買っちゃったんですよね。

東京国際は『古井戸』で誰をゲストに呼ぶのでしょうか?
ひょっとして張芸謀監督?
だとしたら面白いですね。
呉監督は10年前、日本の撮影監督協会に呼ばれて東京と
大阪で講演し、この映画の裏話を披露して張芸謀を絶賛し
ていました。
演技が上手い下手ではなく、井戸掘りの農民を演じるため
毎日石を背負って山を何往復もし
井戸の落ちて閉じ込められるシーンのため
3日も絶食したというその精神を高く評価していました。

ちなみに呉監督も映画の中で呉書記の役で登場しています。
実はもともと俳優だったんですね。
張楊の『老人ホームを飛び出して』でも愉快な老人役を
楽しそうに演じていました。
今度は逆に張芸謀から撮影裏話が聞けたら
面白いだろうなあ。









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この記事へのコメント

コジマ
2015年10月18日 21:51
先生、お久しぶりです。今年の東京国際映画祭は、本当に中国映画が多く、嬉しく思います。5本、観に行く予定です。
また、10月の講座から、また通わせて頂こうと思っていたのですが、申し込みに気づいた時には、定員いっぱいで、断念いたしました。

来週が楽しみです。
マダム・チャン
2015年10月20日 06:33
コジマさん
そうなんですよ。養成クラスは2クラス開講ですが
満員です。次回はお早めにどうぞ。
フルタイムで働きながら5本はすごいですね。
今年は私も結構担当作品が多く、忙しいです。
会場で会えそうですね。

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