|
GWが明け、早稲田での授業も再開。 『手機』の翻訳も佳境に入ってきて、昨日は前半の名台詞シーンの一つ に差し掛かったこともあり、 丁々発止のああでもない、こうでもないという議論が展開されて、 授業終了時間を忘れて10分も延長して終了。 この映画の主人公は人気トーク番組「有一説一」の司会者の厳守一で、 これを葛優が演じている。 これはCCTVでやっていた(今もやってる?)「実話実説」のパロディ。 映画が公開されると「実話実説」の司会者の崔永元が名誉毀損と いきまいて映画を訴えると騒いだりした。 番組の企画顧問の大学の先生で、たぶん日本の放送作家的仕事を しているらしい男が張国立演じる費墨。 厳守一がテレビ局の発音発声矯正の研修に行った先の中央戯劇学院の 先生が監督夫人でもある徐帆が演じる沈雪だ。 この3人が、厳守一の故郷である河南の農村に行く汽車の中での やりとりが昨日の主な部分で、翻訳難度は高かった。 北京人の沈雪が河南人をバカにした笑い話を披露したので 厳守一が、 「これが宋代だったら、国家主席の徽宗から娼婦の李師師まで河南語だったんだ。 テレビをつければアナウンサーは皆、河南語を喋ってるのさ。 北京語なんて"胡語"だ。"胡説八道"と言うだろう。」とやりこめようとすると、 沈雪が「NI才是胡説八道!」と怒る。 そこに物知りの費墨が、 「李師師は杭州人だから、彼女が喋ってたのは河南語じゃない。 呉語だ。」と言うと、 すかさず、沈雪が、 「"呉濃軟語"の"呉語"でしょ、先生。」と学のあるところを披露する。 そこで、費墨が 「NI是他的老師、ZHE是定性的、他翻不了案」と沈雪の肩を持ち、 厳守一をやりこめるというシーンだった。 この映画はまさに"言葉"が隠しテーマなのだということが よく分かるシーンでもある。 上海一帯の方言はねっとりとして軟らかいという意味の"呉濃軟語"という四字熟語は 日本人になじみはないので、 日本人にも分かるように訳す必要があるわけだが、 「呉の方言だ」という前の費墨の台詞を受けて言ってる台詞なので、 「呉方言」という言葉は必ず入れなくてはならない。 つまり、日本人に呉という地方が分かるように訳さないとならないので、 そうなるとかなり大胆に訳すしか方法はないと指摘し、 いっそのこと、 「"漢音""呉音"の呉の方言ですね」とするか、 「"呉越同舟"の呉の方言ですね」としたらどうだろう、と言うと、 学生の1人から、 「漢音、呉音というのは日本人の概念だから、 それを中国人の台詞にするのは違和感があります。」という鋭い意見があがる。 いいねえ。 そこで「呉越同舟」のほうを取ることになった。 これなら日本の中学生でも分かるし。 続いて、 「NI是他的老師、ZHE是定性的」という費墨の台詞を 私は単純に沈雪が厳守一の研修先の先生だということを 言ってるだけだと理解したのだが、 「これはこの車中でのやり取りで沈雪が厳守一を言い負かしたことも含めて "NI是他的老師"と言っているのじゃないでしょうか。」という深い解釈が学生から提出される。 なるほどねー。 だったら、どう訳したら、そのニュアンスが出る?というわけで、 また、ああでもない、こうでもないと話し合う。 これらの一連の議論に参加できていたのはたぶん数名で、 積極的に発言したのは女子学生ばかりだったが、 時間が経つのも忘れるほど刺激に満ちた授業だった。 ところが、満足して帰ろうとしていると、 数少ない男子学生の1人が寄ってきて、 「先生、台詞にピンインはないんですか。」と言う。 「ピンインがないと辞書で意味も引けなくて。」 うちの小学生だって読めない漢字を字典で引く引き方を知ってるぞ、と 思いつつも、そこは親切に、 「だったら、部首か画数で引くのよ。」と私。 「え、でも、画数が、はっきり分からなくて。」(オイ) 「そしたら、8画ぐらいかなあ、と思ったら、まず8画のところを見て、 そこにもなかったら、7画か9画のところを探すのね。」 男子学生の中にも1人だけ訳出する日本語のセンスはなかなかいい学生と、 一生懸命日本語を学ぼうと受講している日本文学専攻の中国人男子留学生も いるものの、全体にどうも男子学生は影が薄く、 慶應のSFCでもそうだったが、どうやら早稲田でも「女高男低」のようだ。 理科系学部だとまた違うのだろうか? たまたま帰りに寄った内山書店で『刀刃上的舞者 馮小剛電影的研究』 という本を見つける。地下鉄の中で読み始めたが、なかなか面白い。 他に王朔の本を二冊購入。 注 「高低」の解釈は「智高智低」でも「高調低調」の「高低」でも、 どちらでも可。 |
| << 前記事(2008/05/10) | トップへ | 後記事(2008/05/14)>> |
| タイトル (本文) | ブログ名/日時 |
|---|
| 内 容 | ニックネーム/日時 |
|---|---|
こんばんは。 |
manhong 2008/05/14 00:15 |
本当に胸が痛みますね。特に倒壊したのが学校が多く |
マダム・チャン 2008/05/14 07:30 |
| << 前記事(2008/05/10) | トップへ | 後記事(2008/05/14)>> |