マダム・チャンの日記

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help リーダーに追加 RSS 時が滲む朝

<<   作成日時 : 2008/05/10 17:20   >>

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『ワンちゃん』で芥川賞を惜しくも取り逃した楊逸さんの文学賞受賞後第一作が
今月号の「文学界」に載っているのを読んだ。
確かに文章はところどころ拙いんだけど、書かれている内容の重みと、
主人公の心情が切々と伝わってきて、一気に読ませる力があるのは、
『ワンちゃん』と同じか、それ以上。

今回は88年にたぶん陝西省の農村から大学に進学し、
地方都市での民主化運動の中心として活動するも挫折、
大学も退学になって、幼なじみの日本の残留孤児二世と結婚し、
日本にやって来た青年のその後の10年間の、
日本での民主化活動の苦さとかつての仲間たちとの連帯と
それぞれの変貌に揺れ動く心情を描いたもの。
読むと、いろいろなことを考えさせられます。
こういう風に日本の片隅で暮らしている中国人もいるのだなあと思うと、
ここのところずっと違和感を感じていた長野での在日中国人のふるまいに
対するモヤモヤも洗い流される。

日本人にもいろいろな人がいるように、
在日中国人にもいろいろな人がいる。
身の危険を賭しても、長野での真実をブログでリポートする
中国人もいる。
民主化運動の一環で北京オリンピック反対の署名をする主人公が
「自分は本当に反対なのか」と自問するところも重い。
中国人として日本に生きる重さを思うと、
お気楽に日本で育ち生きてきた自分が安易に彼らを批判できない
気持ちにもなる。

楊逸さんの小説には、その不器用なまでの誠実さゆえに心を揺さぶられ、
日本の作家にも、中国人の中国語の小説にも感じたことのない読後感で
胸が一杯になる。




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コメント(3件)

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マダム、初コメントです〜
私は ダイ・シージエ監督の映画が好きですが、
中国を離れて 外国に長く暮らしている作者は
(監督の場合はフランス、楊逸さんは日本)
俯瞰で客観的に 中国が見られて問題意識が
明確になるのと、望郷の念か 中国への愛情を
感じます。
『ワンちゃん』にも ほろりと しました。
インシュリン妻の 事件などで、中国の農村からやってくる中国人妻にネガティブな印象の付きまとう中、
その必然性も 理解できたし、
愛して結ばれたわけでもない旦那のお母さんに
優しくて、情が濃いのだな、と。八百屋さんへの淡い恋心も。こんどの主人公は 男性ですね。それも楽しみだなぁ。
zhumeizi☆
2008/05/10 19:10
今読んでいる富坂聰氏の本によると、2007年時点で ニューカマーの急増によって中国人の登録者数は50万人に達する勢いで、これは 在日韓国朝鮮人の総数60万人に迫る数。不法残留者が 10万人いれば、すでに同数になっているそうです。在日中国人、ということだけでは くくれない いろんな人がいることでしょう。世代もさまざま。同じ日本にいても なかなかわからない
その人の 背景や心情を 描いてくれる王逸さんの
今後に期待しています。

zhumeizi☆
2008/05/10 19:12
うん、そうなんです。
楊逸さんが描く小説の主人公たちの向こうには
その何十倍もの数の日本で暮らすさまざまな中
国人人たちの姿がおぼろげに見えてくる思いが
します。貴重な作家です。

それに比べると、厳歌苓や虹影のようなすでに
中国で名を成した海外に居住する作家が書く外
国を舞台にした小説はどこかウソっぽい。まあ
私も彼女たちのそういった小説をたくさん読ん
でるわけじゃないけど。

小説の巧拙と人を感動させる力というのは別物
なんだなあ、と思います。
マダム・チャン
2008/05/10 19:23

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