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翻訳が終わったばかりの作品の人名表記が問題になる。 時代劇だし、私としては漢字表記が良いのでは、と思うのだが、 配給会社側はカタカナ表記を希望。実はこれは、いつも配給会社 との間でせめぎ合いになる問題。 『HERO』の時は監督が人名の漢字にも意味があるので、そのままで と言われたのが通り、珍しく漢字表記になった。その流れで、『LOVERS』 も漢字表記に。その代わり、タイトルは横文字になってしまったけど。 『ウインターソング』は配給会社は何も言わなかったのだが、試写を見た ライターさんから「なぜカタカナ表記じゃないのか」との声が出たそう。 これは孫納が見東に名を聞かれて、「老孫」と呼んで、友だちは「孫呉空」 と呼ぶけど、と答えるから、カタカナ表記には出来なかったのだ。 だって、「スン」と呼んで、友だちは「孫悟空」と…じゃ、何のことだか分からない ではないか。 そもそも日本人はカタカナより漢字のほうが絶対に記憶定着率が高いと思う のだが、最近の日本人はそうではないのだろうか。 登場人物の人名表記が漢字だと、字幕に漢字が多くなりすぎて、見づらくなると 言うのだが、漢字仮名混じり文のほうが読む速度も早いはず。 いつから、日本人はカタカナ表記ばかりを好むようになったのだ? 映画のタイトルだって、昔は『旅愁』とか『慕情』とか日本語のいいタイトルが たくさんあったのに、今はタイトルから内容が推測できないようなものばかり。 『グリーン・デスティニー』『インファナル・アフェア』なんて、公開当時意味不明 だった人も多いはず。原題の『臥虎蔵龍』『無間道』で何がいけないのか、 さっぱり分からない。こっちのほうが、ずっと意味が分かる。 配給会社の言い分は、漢字タイトルだといかにもアジア映画っぽくて、 お客さんが呼べない、ということらしい。 カタカナならハリウッド映画と勘違いして見に来るとでも言うのだろうか。 登場人物の名は百歩譲って我慢するとしても、実際問題として困るのは、 漢字さえ併記してくれれば問題ないのにカタカナ表記だけにすることから くる混乱だ。 『単騎、千里を走る』に姜文が出演しているという誤報は、ガイド役の女の 子の蒋文をジアン・ウェンと表記したため。 それとは逆に、作品によってカタカナ表記が微妙に違うため、同一人物か どうか確信が持てないこともよくある。 お願いだから、()にして漢字を書いてくれ。 ついでに言うと、自分が字幕を担当したのでない作品を通訳する時も とても困るのだ。カタカナ表記を見ただけじゃ、発音ができないから。 中国人の名が中国語ピンイン表記であることを知らず、勝手に英語読み することからくる間違いも多い。 チャン・ツィイーという日本通用名はベルリン映画祭で初めて『初恋のきた道』 を見た映画ライターが「Ziyi」を似ても似つかぬ「ツィイー」と書いて、 雑誌『フィガロ』に紹介したため、それが定着してしまった、と私は睨んでいる。 「パイキャッソーとは俺のことかとピカソ言い」ならぬ 「チャン・ツィイーとは私のことかと章子怡言い」である。 つい、この間も『我愛NI』と『緑茶』をDVD化するにあたり、せっかく私は 劇場版は漢字で押し通したのに、カタカナ表記にすると言われ、チェック したら、さっそく「ツィイー」と同じ間違いをあちこちでしている。 「ju」は中国語では「ジュ」と読まないし、「liang」も正確には「リャン」じゃ ない。何のために劇場版で初出の時にルビをつけてるのだ? カタカナに変えるのなら、そのぐらい気を遣って欲しいものだ。 私はついに連載が終わってしまった週刊文春の高島俊男先生の「お言葉ですが」 の大ファンだったが、高島先生のように日本語の乱れに怒りを覚えることが多い のは、私が年を取ったせいだけではないと思う。 日本人の国語能力は確実に低下している。 漢字離れ、ひいては教養の低下と学校教育のレベル低下の根っこは同じだ。 80年代半ばに「ゆとり」学習指導要領が導入されると、長年日本人の国語表現力と 教養を培ってきた高校の漢文も必修ではなくなってしまった。 息子の学校の生徒名簿を見ると、日本人だか外人だか分からないようなカタカナ名 や、漢字の意味も何も無視した漢字当て字名前の氾濫に、最近は怒りを通り越して、 暗澹たる気持ちになる。親の知的レベルが知れるというものだ。 小学校から英語なんか授業でやるより、漢文の素読でもやらせたほうがずっと いいと私は思う。 追記 当該作品の字幕製作担当の方に「私も個人的には漢字表記がいいんです。 HEROの残剣や飛雪は読みが分からなくても印象に残りましたものね。」 と言われる。皆さん、結構、このブログを読んでくださっているようで(汗)。 |
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[映画]『フラワーズ・オブ・シャンハイ(海上花)』(侯孝賢)[C1998-06]
昼食後の二本目は『フラワーズ・オブ・シャンハイ』。“最好的時光”(『百年恋歌』)の“自由夢”(第二話)があまりにもすばらしかったため、『フラワーズ・オブ・シャンハイ』を観直さなければと思っていたところ。スクリーンで観るのは二回目。スクリーン以外では全く観てお ...続きを見る |
実録 亞細亞とキネマと旅鴉 2006/10/18 22:38 |
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もしかしてログは初めてかもかも、です。いつもありがとうございます。マダムほどの方でもやはり「せめぎあい」があるのですねー。うんうん、って大きく頷きながら読ませていただきました。今私がやってるのは、初出だけじゃなく出て来るたびに全部ルビつきの名前。しかもフルネームじゃない。登場人物が多すぎて、姓にすれば同じ名前が登場するので苦肉の策。まだまだ今後も暗中模索状態(時々自己嫌悪)が続きます。 |
もにかる 2006/10/01 13:12 |
もにかるさん |
マダム・チャン 2006/10/01 15:22 |
早速ありがとうございます(恥)。食い入るように…ですか、やっぱり(爆)。香港(製作)の最近の時代劇、とくにテレビは、セリフはやけに今っぽいです。流行語や新しいカルチャーを、あらすじと関係ない部分に散りばめる。それが香港の面白さでもあるんですが、それはそれでNGになりまして、んー、残念しごくって感じ。マダムも映画祭の字幕→通訳と、1年でいちばんお忙しい時期に突入、どうぞ「のど」お大事に!(ほら、ディランの時…) |
もにかる 2006/10/01 16:13 |
チャン・ツィイーってやっぱりおかしいですよね?!こんなのどうやって発音するんだといつも思っていました。私はいつもチャン・ツーイーで押し通しているのですが、件の映画ライターさんにはそう聞こえたのでしょうか。 |
ゆり 2006/10/01 16:45 |
もにかるさん |
マダム・チャン 2006/10/01 17:13 |
まったくごもっともですよ…絶対イメージが広がる漢字表記でお願いしたいですよ。「残剣」が「チャンコン」、「飛雪」が「フェイシュエ」にならなくて本当によかったです。マダム、ありがとうございます<(_ _)> |
nancix 2006/10/01 18:56 |
そう!香港俳優の姓の不統一についてはかねてから |
マダム・チャン 2006/10/01 19:22 |
はじめまして。10年くらい前に張國榮のファンになってから中華文化、東アジアにつぃて色々考えるようになりました。何一つ香港のことも知らなかった私が、アチラの映画に興味を持った途端に俳優を広東語読み、北京語読み、英語名のカタカナ読みの三本立てで名前を覚えないといけないことに。最初、本当に面食らいました。章子怡の変な読み方、ずっと気になってます〜。 |
kadoorie-ave 2006/10/02 01:20 |
kadoorie-aveさん |
マダム・チャン 2006/10/02 07:18 |
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